第56話:王子の婚礼
新たな王妃である仁元(イヌォン)王妃は、トンイの子ヨニン君に婚礼を挙げさせ宮殿から追い出そうとしていました。
それを防ぎたい粛宗に、「王様がヨニン君の肩を持っては、世子が傷付きます。私に任せてください」と頼みます。
トンイはこれまでの王室の記録を持ちだし、側室が産んだ王子の妃選びには母親が関与した例が多数あることを説明します。
よって、ヨニン君の婚礼は挙げるが、妃選びは母である自分がすると宣言しました。
婚礼など嫌だと涙するヨニン君に、トンイは「必ず母が何とかしますから」と優しく抱きしめます。
そしてトンイは、粛宗にも今下手に動けば世子が傷付く。
せっかく母を失った傷が癒えつつある今、決して刺激してはならないと粛宗に直接進言しました。
トンイが選んだ妃候補は、進士(チンサ)であるジョンジェの娘でした。
困惑したジョンジェは、王子のためであれば政治的有力者を選ぶべきと一度は断りますが、トンイは「他人に分け与える力、恥を知る力、そして何より自らの無力さを知る力、そんな本物の力を王子に与えたいのです」
この言葉にジョンジェは、承知するしかありませんでした。
第57話:王の密命
ヨニン君の婚礼が盛大に行われた日の夜、
「今回は治まったが、少論(ソロン)の重臣たちはヨニン君を狙ってくるぞ。余にとっては2人共大事な子であるが、重臣たちにとっては権力を守るための盾に過ぎん。余はそなたに大事なことを聞く。王としてではなく子の父として子の母として聞くのだ。ヨニン君が王になるべきだと思っているか?それが宮廷内でヨニン君を生かす、唯一の道だと思っているか?」
トンイは「王様の跡を継ぎ、王になるのは世子様のみです。それは揺らいではいけません。しかし、ヨニン君を生かす方法といえば、ヨニン君も王になるしかないと母親として胸に秘めた決心です」
トンイのこの気持ちを聞いた粛宗は、重臣たちに王位を継ぐのは世子であると宣言します。
そして、トンイを宮殿の外に住まわせると宣言し、周囲も驚きを隠せません。
その真意は、王位を世子に禪位(ソニ)する意向でした。
禪位とは、王位を譲ることです。
王位を譲ったあとは、トンイと共に粛宗は暮らすといいました。
第58話:思わぬ標的
まもなくしてトンイの出宮命令が出されます。
チャ・チョンスは出宮するトンイと、宮廷に残るヨニン君の召集できる兵に2分させなくてはなりません。
しかしその兵の数はわずか20名ほど。
すべては2人を亡き者にしようとするムヨルの仕業だったのです。
ムヨルはトンイの出宮を遅らせ、先に世子を出し襲う気なのでした。
ムヨルはヨニン君の居所を襲い、兵士がなだれ込みます。
トンイは動揺することなくムヨルに向き合いました。
「直ちに淑嬪様を捕らえろ!」とムヨルが兵に命令します。
ところが、兵たちはまるで聞こえなかったかのように微動だにしないのです。
トンイは「その者たちは動きませんよ。皆、私の命を受けてあなたを捕らえに来たのです」
「何?」
「さっさと罪人を捕らえろ!」
兵たちに取り囲まれるチャン・ムヨルは、王妃が内旨標信(ネジピョシン)で下命したはずだと叫びます。
その内旨標信には、確かに「世子を襲った罪人を捕らえよ」と書かれていました。
その罪人とは正に兵曹参判(ピョンジョチャムパン)のチャン・ムヨルだったのです。
第59話:真心の力
「あり得ない!」と喚き散らすムヨルでしたが、そこに現れた仁元(イヌォン)王妃も「いいえ、まぎれもなく私が出した内旨標信(ネジピョシン)です」
チャン・ムヨルと側近ミン武官が縄に繋がれました。
トンイは王妃が自分を信じてくれたからこそできたことだと感謝の意を述べます。
しかし仁元王妃は、「有難いのは私の方だ。王室に罪を犯すところであった。そんな私を信じ救ってくれたのはそなただ」
粛宗は、チャン・ムヨルを斬首の上、晒し首。
右議政(ウイジョン)イム・サンヒョンと判義禁府事(パニグムブサ)以下、すべての在任は流刑のあと毒殺されることになります。
やがて世子にも禪位(ソニ)の情報が入りました。
すべての家臣たちがこれに反対しますが、粛宗の決意は揺るがず、トンイと共に暮らす梨峴宮(イヒョングン)へ越すための準備が急がれています。
そして仁元王妃は、王妃にしかできないことをしようと、ヨニン君の講義の場に出向きました。
仁元王妃は、ヨニン君を養子にすると宣言したのです。
養子にすればヨニン君が世弟になる名分ができるというのでした。
そしてトンイは最初の下命通り、梨峴宮(イヒョングン)へ移ると言います。
第60話:民のために
梨峴宮へ移ったトンイは、民がいつでも来られるようにと塀を壊すよう指示しました。
翌日からは民への粥が配給され、訴えを聞く場も設けます。
夜の街を肩を並べて歩くトンイと粛宗。
その時突然、ゴロツキが女人をさらって走っていきます。
直ちに粛宗は、官軍を呼び寄せるようハン内官に指示を出しました。
トンイは、ゴロツキを追いかけて走っていきます。
「兵士が来るまで待とう!」という粛宗に、トンイは「証拠が消えてしまいます。塀を超えましょう」
「何?塀を超えるだと?」
「はい、一度だけ踏み台になってください」
「なんと、余は王であるぞ?知らなかったときとは訳が違う。」
「男だと言ったくせに!」
「いや、それは…」
「選んでください。王ですか?男ですか?」
「ん~分かった。踏み台になる。上がれ」
粛宗は、「む~、これは前より重くなった」
「力を入れてください。相変わらずひ弱ですね!」
「く~!」
やがて月日が流れ、世子が第20代王のあとを継ぎ、ヨニン君が第21代王「英祖(ヨンジェ)となりました。
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